「嫌いな教科を勉強する理由は?」
こんにちは。
「いつもおそばに音楽を」
H.I.M.の萩本亜矢です。
2021年の県立高校入試の面接で、このような質問があったそうです。
「嫌いな教科を勉強する理由は?」
受験生たちの答えは、「社会に出てから役に立つから」とか、「嫌いな教科も勉強することで根性が鍛えられる」というようなものが多かったようですが、中には「わかりません」と答えた生徒もいたようです。
まず、この質問をした学校側の意図を想像してみましょう。
あなたが学校側の面接官だとしたら、どのような生徒が欲しいかを想像することは、ヒントの一つになるかもしれません。
- 好きな教科も嫌いな教科も勉強する人
- 好きな教科は頑張るが、嫌いな教科は頑張らない人
- 好きな教科はほどほどにやり、嫌いな教科の方を頑張る人
- 好きな教科も嫌いな教科も頑張らない人
この中で、どの生徒を選びたいですか?
この質問で問われているのは、生徒が”リベラルアーツ・アクティブラーニングの観点を持ち合わせているか”だと思います。
当教室のホームページにも、”リベラルアーツ教育を意識したレッスン”と謳っておりますが、ピアノのレッスンも、楽譜通りに指を動かすことだけでなく、曲が生まれた時代背景は歴史、音階・音価・拍子は数学、美しい音色は美術、というように複数の分野が関わり合うことで、演奏の幅を広げてくれると思っています。
学習指導要領では、1997年頃から各教科がバラバラに指導していては、これからの時代に必要な能力が育たないと考え、生きる力を育てるため、「自分の課題を自分で見つけ、自分で解する力」として、教科横断的・総合的な視点を育てる方向へシフトしています。
以上のことを踏まえると、面接の質問の模範解答は、「どの教科も関わり合っているので、無駄なものはない。嫌いな教科でも、興味を持って取り組みたい」でしょうね。
当教室でも、「ピアノを教える」を通じて、「ピアノで学ぶ」を意識しています。
ピアノも勉強も、習得のためのプロセスは同じですよね。
どれだけ点が取れたかよりも、学ぶこと・習うことを本質的に理解すれば、自ずと結果はついてくると思います。
「基礎が大事」ということを本当に理解しているか?
こんにちは。
「いつもおそばに音楽を」
H.I.M.の萩本亜矢です。
「基礎が大事」という言葉を聞いて、みなさんは「全くその通りだ」と思われますか?
それとも、「別に、自分はピアノでプロになるわけじゃないし、好きな曲だけやるのが一番だ」と思われますか?
基礎が無意識にできる状態であることは、好きな曲が最短距離で弾けるということです。
なぜなら、あなたが弾きたい曲・好きな曲は、ほとんど基礎的なテクニックの応用だからです。
想像してみてください。
音符を読めない方が、いきなり♭3つの調の「夜を駆ける」を弾こうとしても、まず無理でしょう。
でも、基礎がしっかりあれば、小学生でも弾けるようになっています。
幼い子どもは「弾けたら楽しい・弾けないとつまらない」というくらいの感覚なので、難しいものと向き合うと逃げたくなるものです。
逃げる、サボる(笑)、子どもを温かく見守る保護者と、音楽は素敵なものと感じる家庭の雰囲気があれば、基礎の反復も耐えられるようです。
たしかに、基礎練習である音階、アルペジオ、ハノン、ツェルニー等は、面倒で退屈だと思われる方は正直多いです。
しかし、曲の大部分は、その調の順次進行(隣の音)であり、音階が弾ければ曲の大部分がスムーズに弾けます。跳躍があっても、その調の構成和音のアルペジオ(分散和音)であることが多いので、アルペジオを無意識に弾けるだけで、断然ラク。
また、ハノンは音型、運指の定着、ツェルニーは構成、和声進行、転調、終止形、右手と左手の交替などが習得できます。
もちろん、これだけではポリフォニー、ロマン派、近現代の様式や表現は網羅できないので、追加で順次取り組んでいきます。
したがって、全調の音階、アルペジオ等の基礎が無意識に弾ける状態であることは、ひいては好きな曲が最短距離で弾けるということです。
ですから、私はどんなに面倒がられても、「基礎が大事」と伝え続けますし、生徒や保護者には理解していただきたいと心から願っています。
・先生はなぜこの課題を与えるのか?
・この課題をやることで、何が身につくのか?
を考えた上で、日々の練習に取り組んでいただきたいと思います。
「練習の種類」は基本的に2つしかない。
「意識してもできないことを、意識することでできるようにすること」
「意識すればできることを、無意識にできるようにすること」
「守・破・離」の「守」
「守破離」の「守」を身につけることは、ピアノだけでなく、何かを学ぶ時に、必要なスキルです。
ピアノと勉強を別のものとして捉えるのは、もったいないですよ~。
私はただのピアノ講師ですが、広い視野で「学ぶとは?」という概念もお伝えできたらと思っています。
ピアノのレッスンを受ける目的 トップ3
こんにちは。
「いつもおそばに音楽を」
H.I.M.の萩本亜矢です。
これまで当教室の体験レッスンを受講された方へのアンケートをまとめたものが、こちらです。
レッスンを受ける目的、トップ3はこちら!
第3位
「楽譜を読めるように」
これは、楽譜のリズムだけを取り出して手で打つこと(リズム打ち)と、音の高低であるドレミを読むこと(譜読み)を繰り返せば、読めるようになります。
譜読みのコツに関しては、「線」と「間」の記事を参照してくださいね!
第2位
「好きな曲を弾けるように」
第3位の「楽譜を読めるように」ができたら、好きな曲も弾けると思われるかもしれませんが、実はもう一つ必要なものがあります。
それは、”テクニック”。
ドレミファソラシドと8つの音を片手で弾こうとした場合、片手の指は5本なので足りません。無理やり弾こうとすると、音が切れてなめらかに弾けません。
そこで、使うテクニックは”指くぐり”です。
途中で1の指(親指)をくぐらせるだけで、8つの音はきれいにつながります。
このように”指くぐり”以外にも、無数のちょっとしたコツの引き出しをピアノ講師はたくさん持っているので、それを生徒さんにお伝えすることで、”きれいに弾ける”状態に導きます。
もしテクニックなしで好きな曲を弾こうとすると、メロディがぶつぶつ切れて、何の曲だか認識してもらえない可能性があります。
テクニックを育てるための教本は、バイエル、ハノンやツェルニーが有名ですね。
第1位
「豊かな感性が育つように」
ところで、”豊かな感性”とは何でしょうか?
https://sakura-paris.org/dict/%E5%BA%83%E8%BE%9E%E8%8B%91/content/4484_84
https://sakura-paris.org/dict/%E5%BA%83%E8%BE%9E%E8%8B%91/content/4484_84
かん‐せい【感性】
(sensibility イギリス・Sinnlichkeit ドイツ)
①外界の刺激に応じて感覚・知覚を生ずる感覚器官の感受性。「―豊か」
②感覚によってよび起こされ、それに支配される体験内容。従って、感覚に伴う感情や衝動・欲望をも含む。
③理性・意志によって制御されるべき感覚的欲求。
④思惟(悟性的認識)の素材となる感覚的認識。『広辞苑』より
感覚器官は、五感(目、鼻、耳、口、皮膚)から身のまわりのいろいろな状態や変化を刺激として受け取る器官ですが、これらの感受性が豊かとはどういうことなのか。
(豊かというとよい響きですが、敏感すぎると実は大変だったりします)
そして、どうなったら”豊かな感性”が育ったと感じるのでしょうか?
レッスンでは、テクニックの教本だけでなく、バッハ、ショパンやドビュッシーなど、様々な時代、様々な形式の曲に触れることを意識しています。
それはどうしてなのか?
なぜ、いきなりポップスをやらないのか?
(大人は別です)
ということも考えてレッスンに通われると、いつものレッスンも違ったものに見えてくるかもしれませんね。
何事においても、「〇〇とは何か?」を問い続けると、本質に近づく気がします。
「頭が良い」とは?
こんにちは。
「いつもおそばに音楽を」
H.I.M.の萩本亜矢です。
生徒・保護者向け記事です。
「頭が良い」とは、どういうことでしょうか?
テストで高得点が取れること?
世渡り上手なこと?
レッスンで使うノートには、「しつもんなど」を書く欄があります。
毎回びっしり書き込む子、真っ白な子、いつも「ありません」と書く子、さまざまです。
そこで思うのは、「頭が良い」要素の一つは、「質問できること」だと感じています。つまり、自分の課題を自分で見つけること、そして解決しようとすること。
ピアノを誰かにやらされているのではなく、自分の課題として捉えているならば、好奇心があり、どんなに小さなことでも疑問は無限に出てくるはずですよね。
「学力」=「生きる力」
学校で総合的な学習の時間が設けられた目的は、この「自ら課題を見つけ、自ら解決する力」を「学力」の一つとして捉え育てるためです。「学力」は「生きる力」であり、国語や算数ができるだけいいの?ということです。「勉強があるからピアノは弾けませんでした」という子は、どんなに算数のテストで高得点でも、「学力」「生きる力」があるとは言い切れないのではないでしょうか。ピアノが弾けるようになりたくて、レッスンに通っているのですから。
「ピアノが弾けたらいいなぁ」と思ったら、「どうしたら弾けるようになるか?」と考える。でも、ピアノ教室に通うだけでは弾けなくて、さらに「どうしたら弾けるようになるか?」を考え続けることで弾けるようになります。それを続けていくと、弾けるだけでは満足できず、「よい音色を出すには?」などと探求心は枝葉を伸ばしていきます。
また、勉強や仕事でピアノに使える時間が少ない人は、「どうしたらピアノのための時間を作れるか?」を計画し実行することも大切です。(タイムマネージメント)
あなた(お子様)がピアノ教室に通うゴールは何ですか?
ピアノが弾ける素敵な人生が欲しいからですよね。
たとえば、「学校で伴奏が弾きたい」という目標があるのなら、「勉強が忙しくて」とか「部活で疲れていて」とか、練習できない理由を語っている間に、30秒でも楽譜を眺め、5分でも指を動かしましょう。その方が、あなたの夢に近づきます。
できない理由を並べるのは、時間の無駄です。
どうしたらできるかを考える。
やる気がなくても、とりあえず練習を始めさえすれば、終わった頃には楽しく弾いていますよ。
やる気があるから行動するのではなく、行動するからやる気が出るのです。
ピアノが弾きたい→弾けた!
テストでよい点が取りたい→取れた!
思いきり遊びたい→(やることをやったから罪悪感なく)遊べた!
「頭が良い」とは、「人生を楽しむ」ことに繋がるのではないでしょうか。
ハーバード大学も、開成中学校も、音楽を含め、幅広い教養の必要性を感じているように見えます。
生徒の特性を見極めて指導するヒント”タイプ分け”
こんにちは。
「いつもおそばに音楽を」
H.I.M.の萩本亜矢です。
先日、"優位感覚"についての記事を書きました。
他にも、子どもや生徒の特性を見極めるヒントになるものとして、”タイプ分け”があります。
1、コントローラー
コントローラーは、自分で決めたい、支配したい、人に指図されたくない、(的外れなポイントなら)ほめられたくない、というタイプです。
社長など、リーダーに多いかもしれません。
空気を読まずに誘いを断れたり、時節の挨拶よりも結論から話したがります。
本心と言葉が一致しているので、裏がないとも言えます。
ただ、レッスンでは、勝手に曲を決め、勝手に中断することがあるので、目的地を見失わないように指導する必要があります。
2、サポーター
人を支えたい、応援したい、空気を読んで断りづらい。やさしい、やわらかい印象。
感情を優先させます。
本当はどう思っているのか、正直な自分の気持ちや考えを言ってもいいんだよという雰囲気を作りたいですね。
私は少し前まではサポーターでした。
一人で教室を運営して10年以上が経ち、コントローラーっぽくなりました。
いろいろな方がいますので、全員の言うことを受け入れていたら振り回されるだけ、断れないと、身が持たないと気づいたからです。
3、アナライザー
行動は慎重、分析、計画が好き、客観的、冷静。感情で動かず、理性で動きます。
自分が納得をしないと、動かないかも。
レッスンでは、楽典や楽曲分析が得意です。
ほぅほぅと興味を持たせて、演奏に活かしましょう。
4、プロモーター
楽しいことが好き、アイディ豊富、飽きっぽい、話が散らばりがちで、社交的です。
演奏表現のために、おもしろい例え話や、表情(変顔も!)で身振り手振りも交えて全身で伝えています。
「おもしろいじゃん!」と思ってもらえないと、発表会の曲も途中で放り投げます(笑)。
そもそも、「何のために教室に通っているか」を時々一緒に確認した方がよいです。
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ここまで、4つのタイプをご紹介しましたが、あの人とは性格が合わないなぁと思ったら、案外相手が自分とは違うタイプなだけかもしれません。
相手の受け取りやすい言葉やアプローチでコミュニケーションを取れば、お互いに気持ちよくお付き合いできるのではないでしょうか。
勉強できる子のお母さんは口うるさくないらしい。
こんにちは。
「いつもおそばに音楽を」
H.I.M.の萩本亜矢です。
先日娘が、おもしろいことを言っていました。
「友だちと話していて気付いたんだけど、勉強できる子のお母さんってみんな”勉強しろ”って、口うるさくないんだよね~」って。
これって、親が「練習しなさい!」と子どもに怒って、結果、ピアノ嫌いの子を爆誕させる問題と、表裏一体な気がします。
この現象をなんと表現したらいいのやら考えあぐねていたら、「親が口うるさくはないけど、みんな小さい頃から勉強の習慣はあるんだよね」とのこと。
中学生くらいになったら、ああしろ、こうしろと親に指示をされなくても、自分の頭で考えて行動できるようになってほしいもの。
そうなるには、小さい頃から習慣づけが肝心なんですね。
ピアノも勉強も、習慣づくまでの何年かは大変です。
親は、ひたすら忍耐、忍耐、忍耐…です。
子どもが「難しい」と投げだしそうになったり、イライラして泣きわめいても、暴風雨は過ぎ去り、晴れの日は必ず来るのです。
忍耐の後に、「子どもが自分からやる」そして「親が思っている以上にできる」というご褒美が待っていると思って、どうか心折れないでくださいね。
親子で笑顔にいるためには、「やりなさい!」と怒るより、「どうしたら毎日できると思う?」などと、どう習慣づけるかを親子で一緒に話し合えるといいですね。
よい音楽とは
こんにちは。
「いつもおそばに音楽を」
H.I.M.の萩本亜矢です。
よい音楽とは
日々、私たちはよい音色、よいリズム、よい表現を追い求めて過ごしているわけですが、よい音楽とは、一体どんな音楽だと思いますか?
きっと、人それぞれ違うと思います。
先日、全国的にも著名なピアノの先生が、「ピアノの先生って、おいしいもの、きれいな風景が好きな人が多いわよね。」とおっしゃっていました。「だから、年齢より若く見える人が多い」とも。
よい音楽を演奏するには、ピアノの練習以外の時間も大きく影響するのだと思います。
例えば、美術館で何百年前の”珠”を観たら、つるりとした質感、青なのか緑なのか何とも言えない色味、触れないけれど、何グラムくらいなのか想像する重量感など、受け取る情報はとても多いです。
その経験があって、いざピアノを弾くときに、「あの時観た”珠”のような音を出したい」なんて思ったりします。
また、とてもよい香りのお花があったら、ブルクミュラーの「やさしい花」を弾く時は、その香りを思い出そうとしたりします。
おもしろい形の雲を見ても、いろいろと思うわけです。
あとは、人付き合いにしても、できない理由を並べたり、愚痴ばかり言っている人といると、胸がザラリとして心の中が曇るので、自然と距離を取ろうと思います。心をいつも穏やかに、あたたかい幸福感でいっぱいにしたいのです。
心がザラリとするような人やモノは、悪魔がテーマの曲を弾く時とか、負の感情を表現したい時には必要な存在かもしれませんが(笑)、日常的にはストレスでしかないので、閉店ガラガラさようならです。
要するに、
よい音楽とは
よく生きること
なのではないでしょうか。